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ワルモノの「実は…」ブルーギル編
（R5.12.22配信）
ワルモノ？の「実は…」ウシガエル編、アメリカザリガニ編、アカミミガメ編、ブラックバス編に続く第5弾！
18年前の2005年に外来生物法が施行されたときに、ブラックバスと同様に特定外来生物に指定されたブルーギルをしょうかいします。
他の生き物や生き物たちのすみかに大きなえいきょうをあたえることで知られている外来生物。
しかし、もともとすんでいた場所では、かれらも“在来生物”でした。
人によって運ばれたり、荷物についてきてしまったりして移動しただけ。
そんな元・在来生物たちは、新しい場所で外来生物となり、天敵がいないことでどんどん数を増やして勢力を強めた結果、いつしか“ワルモノ”になってしまいました。
今回の記事は、外来生物ブルーギルの「実は…」をしょうかいします！
ブルーギルのプロフィール
分類
スズキ目・サンフィッシュ科のブルーギル属の淡水魚（北アメリカ原産）
大きさ
成魚（大人の魚）で20～30cm、原産国の北アメリカでは３0cmより大きくなるものも多いそうです。
ちなみにブルーギルの世界記録は、サイズは40センチで、重さは2.15kgとのこと。
日本の最高記録は琵琶湖で釣り上げられたサイズ29cm、重さ810gでした。
ブラックバスの世界記録も琵琶湖で釣り上げられたので、さすが日本最大の湖といったところでしょうか。
寿命
１０年くらいといわれています。
見られる場所
ほぼ日本全国の川や池、湖、沼などさまざまな水環境に生息しています。
流れがおだやかで水草が多いところを好み、水質が悪いところでもすむことができます。
とくちょう
ブルーギルは雑食性で、昆虫類、植物、魚類、貝類、動物性プランクトンなどを食べます。
雑食性ですが、動物食性が強いようで他の魚の卵も大好きのようで、えさの生物が少ない時には水草も食べるようです。
筆者も、子どものころにチョコレートチップでブルーギル釣りをしたことをおぼえています。
なんでブルーギルという名前なの？
ブルーギルには、鰓蓋の後ろのはしに青黒い色の部分があります。
※若い個体にはほとんどありません
鰓蓋のことを英語で“”gill“”（ギル）と呼ぶことから、「青い鰓蓋」ブルーギルと呼ばれています。
ブルーギルの繁殖
オスが作った水底のすりばち状の巣にメスがきて卵を産みます。
卵から生まれた赤ちゃんブルーギルがち魚になるまでの7～10日は、オスが赤ちゃんたちを守ります。
魚の大きさにより１回の産卵数が変わるようで、おおよそ20,000～36,000個を産むそうです。
ちなみに、魚類で一番産卵数が多いのが、マンボウで2～3億個、マグロは数百万個、イワシは数万個です。
身近なものだとサケの卵のイクラだと約2000～3000個だそうです。
淡水魚で身近なコイは20万～60万個といわれており、大きさからするとブルーギルの産卵個数は多いように感じますね。
「実は…食用のための研究魚として日本にやってきました」
食用の研究魚として
1960年、当時の皇太子殿下が訪米の際の手みやげとして持ち帰ったものを水産庁にゆずりました。
その後、食用にできないかなどの研究のために各地の試験場などにわけあたえられ、ため池などで放流されたと言われています。
また、その他にも人が勝手に放流するなどし、生息域が拡大して、ほぼ全国で確認されるようになりました。
ブラックバスを上回る勢いで拡大か！！
先に書いたとおり、ブルーギルは生命力・繁殖力・捕食力があるので、ため池や湖の生態系へのえいきょうが問題とされています。
そのため各地でく除の取り組みがされています。
テレビで放送されている池の水ぬきによってブルーギルやブラックバス外来魚を取り除く方法、あみなどの漁の道具でつかまえる方法などがありますが、わたしたちに身近な方法というと釣りによるく除ではないでしょうか。
釣り上げたら再放流しないことをすすめている滋賀県では、『ブルーギル・ブラックバスのリリースは禁止です』というチラシをだしていて、「外来魚を釣り人の手で取り除くことは相当の効果が期待できます」ともアピールしています。
琵琶湖では、釣ったブルーギルやブラックバスの外来魚を持ち帰ることや、回収ボックスに入れることで、数が減少しているとの報告もあるようです。
堺市でも、春先に生物多様性の情報発信イベントとして、生態系に大きなえいきょうをあたえる外来生物について学び、実際に特定外来生物として指定されているブルーギルを釣りやしかけあみによりく除するイベントを行いました。
ちなみに令和5年度の実績は102ひきが釣れて、52ひきがしかけあみにつかまりました。
来年も、このイベントを行う予定なので小・中学生のみんなはまた参加してみてください。
ブルーギルは食べることができるの？
ブルーギルは食べることができるのでしょうか。
食べることができそうなサイズの大きいものは、黒に近い黄かっ色であまり美味しそうに見えませんし、やはりにおいが気になりますよね。
しかし、もともと食用として日本に入ってきたと言われているので、魚のにおいのもととなるぬめりや血液、内臓などをていねいにしっかりと取り除くことでおいしく食べることができるようです。
実際に、食べたことがある人に聞いてみると、「しっかり下処理して塩焼きにしたよ。くさみもなくて、あっさりした白身魚でおいしかったですよ」とのお話でした。
ほかにも、あげもので食べる場合は、骨が固く多めなので、しっかりあげてから食べるのがよいそうです。
ブラックバスのように、ブルーギルにも寄生虫がいる心配がありますので加熱して食べるようにしましょう。
でもやっぱり日本ではワルモノ
とは言ったものの、食用としても釣りの対象としても利用価値が低いと言われているブルーギルは、何だかかわいそうな気もしますが、日本にもともと住んでいた生き物たち（在来生物）を食べたり、すみかをうばったりするワルモノです。
でも、よく考えてみると、淡水魚のブルーギルが、海を泳いでわたってきて日本にすみついたわけではありません。
明白に人の手によって生息域を広げられてしまったとしか言いようがなく、何とも言えない悲しい気持ちになります。
ブルーギルに罪はありません。
それでも日本の生態系を守っていくために、かれらをく除する活動を続けていかなければなりません。
作成：ヘラオオ８５
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